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「家に帰りたい」
ベッドの上でうずくまり、雷稀が静かにそう呟く。
「我慢するんだ。約束だろ?」
「でも、毎日毎日おばさん達の喧嘩を聞いているのは嫌だよ」
「うるさい。我が儘言うな!」
雷稀がしゅんとうなだれた耳をふさぐ。下のリビングからはもめる声が聞こえていた。
『あなたは何もわかってないのよ!!』
『だいたいこの家に引き取るって言い出したのはお前だろ』
『でも、あなたの弟さんの子供じゃない。あなたがなんとかしなさいよ』
いつもの喧嘩は当たり前。内容はほとんど俺達のことばかり。お金がかかりすぎすぎてるだの、食費が間に合わないだの。なんだか、わざとこちらに聞こえるように大声で喧嘩しているようだった。そんなに嫌なら、今すぐにでも捨てればいいのに。
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