新しい家族

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 俺の隣では、雷稀が必死に耳をふさいで耐えていた。自分達は何も悪くないんだ、頑張ればすぐにまた幸せになれるよ。そう何度も言い聞かせた結果がかこのザマだ。何が幸せだ、もう頑張るどころじゃない。精神的に参っている雷稀の背中を、俺は撫でようとした。がすぐに手を止め、自分の体の横に戻す。  俺じゃどうにもできない。両親さえいてくれれば、雷稀はもっと笑顔になれたはずだ。お兄ちゃんである俺が頑張らないといけないのに、弱気になってばかりいる。でも、疲れたんだよ。どうしようもないんだ。この状況でどうしろっていうんだ?
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