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「おい!!」
なかなか起き上がらない雷稀に、乱暴だが優しく声をかける。握ったシーツを更にぎゅっと握りしめ、雷稀が小さい声で言った。
「会いたいよ!お母さんお父さん。会いたいよ…!!」
胸が締め付けられる思いだった。両親がいない今、お兄ちゃんとして何もしてやれない。そんな自分に腹が立った。こんな思いまでしているのに、雷稀は戻ってこない両親ばかりに助けを求めるている。お前も見ただろ?子供を残して目の前で自殺したんだ。遺書も何も残さずに、実家帰りの車で、思い出の沢山詰まった車で自殺したんだ。
「いい加減にしろよ」
「お兄ちゃん……」
「黙れよ!!」
怒鳴ったあとにはっとした。びっくりと雷稀が俺から後ずさる。またやってしまった。こんなこといいたくなかったのに。下まで聞こえただろうか。そんなことはどうだっていい。
「ご、ごめんな」
謝る前に、雷稀はシーツを引っ張って潜ってしまった。後悔ばかりが自分を苦しめる。困難じゃダメなのに。雷稀は傷つきやすいって知っているはずなのに。
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