新しい家族

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 この日の夜、一つ決心した。二十歳になったら、沢山働いてお金をためて、雷稀と一緒にこの家をでよう。自分達で幸せを掴み取れば、雷稀もきっと悲しみから抜け出せるはず。それまでの辛抱だ。 おばさん達に与えられた元は物置だった部屋。一つしなかいベッドにニ人で寝るのは窮屈だったが、ないよりマシだ。喧嘩したあとに雷稀と寝るのはなんだか居心地が悪い。明日の朝にちゃんと謝っておこう。俺がしっかりしなきゃ。雷稀を守るんだ。 どのくらい眠っていたのかわからない。気がつくと目が覚めていて、隣にはシーツを丸ごとかけている雷稀がいた。もう朝なのかな?と壁にかけられた時計を目にする。時計の針は二時を過ぎ、あれから一時間ちょっとしか寝ていなかった。急にトイレに行きたくなり、雷稀を起こさないようにそっとベッドから出る。 この家は二階建ての一軒家で、ちょうど二階にもトイレがついていた。いちいち嫌いなおばさん達がいる一階にまで降りなくてもいいので、その辺はかなり助かっている。
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