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いつもとかわらない朝だった。
いや、そうなるはずだった。
「許婚、です‥か‥?」
「そうだ。」
17歳の誕生日の朝。
父様に告げられたこの事実が、私の日常を一変させた。
「明日、共に食事をする。心の準備をしておくように。」
「‥‥はい、父様。」
失礼します、と頭を下げて部屋をでる。扉を閉めると、口から零れたため息。
志筑財閥の長女として産まれた宿命。いつかこんな日が来るのはわかっていた。
わかっていた、けど‥。
心はそんなに簡単なものじゃなくて、顔も名前も知らない突然の許婚を、はいそうですかと受け入れることは出来ない。
それでも、父様の決定に逆らうつもりも勇気もないのだけど。
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