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しかし、だからと言って殺される理由にもならないだろう。
精々、各々が「死ね」だの「殺したい」と、その気もないのに口にする程度だろう。
「しかし、妙だな。
その話だと、蛍さんは30日の夜から家に帰っていないって可能性がある。
だったら、どうして矢島秀作は警察に……」
「蛍、よく朝帰りとかしてたから。
酷いときは2日後とかも」
「何時もの事だと思った、って事か」
確かに帰ってきた。
冷たい身体になって。
「あ、もうこんな時間」
「何かあるのかい?」
「ええ。友達とご飯食べに行くんです」
「そうか。悪かったね。時間をとらせて」
結衣は一礼して席を発った。
彼女を見送りながら、彰は寒い財布とにらめっこを始めるのだった。
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