1 前編

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もうびっくりを通り越して思わず冷静になったよ。 つーか、ギリシア彫刻? 僕の美しい手? OK、理解した。 こいつ、ナルシストだ。 「まったく、生まれてはじめて地面に触ったよ。本当に汚い…!」 だが、どう対処すればいい? ナルシストなんてこっちだって、生まれてはじめて見るんだ。 つーか、ちゃんと謝ったんだからぐちぐち言わずに許してくれればいいじゃないか。 …とは、口に出して言えないのでもう一度謝る。 「はぁ、あの、ごめんなさい」 「ごめんなさい?それだけの謝罪で許されるとでも思ってるのかい!?君はこの僕とぶつかり汚ならしい地面へと倒したんだよ!?」 「はい…すみません」 「もっと誠心誠意謝ってくれたまえ!というより、僕はまず、君のような美しくない人間に触られた、というのがショックなんだ!なんで君のような人がこんな大通りを歩いているんだい?まったく…そもそも…」 ナルシストはまだ何かぐちぐち言っていたみたいだけど、内容はもう耳に入ってこなかった。 こいつ…何様だよ! .
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