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「はい、ありがとうございます。これからも何卒よろしくお願い致します」
にこり、と契約先の女性の重役に微笑めば、彼女はポッと頬を染めた。
「それではこれで失礼します」
相手に頭を下げ、応接室から出た。相手に気付かれないようさりげなくも、素早く契約先の会社から立ち去る。
あの女性の重役に食事にでも誘われたら面倒だ。
世間一般では美しい女性かもしれないが、僕とは釣り合わないから。
「はぁ…」
というよりも、だ。
この僕に釣り合う女性など、この世界にいるのだろうか…?
それさえも危ういな…。
ふぅ、とこの世に嘆きつつ契約が成立したことを報告に戻ろうと、踵を返した。
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