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頭が真っ白になったのが分かった。
人に、あんたと呼ばれたのも、暴言のようなものを吐かれたのも生まれて初めてだった。
彼は、もう2、3僕に向かって怒鳴りつけ、ギっと睨んだ。
しかし、僕が何も言えず呆然としている間に、やっと周りに集まってきたギャラリーに気付いたのか顔を赤らめ、目にも止まらぬ速さで逃げていった。
しっかりと腕の中にある、よく分からない物を抱きしめながら。
突然駆け抜けていった彼に、集まっていたギャラリー達も驚いたようで、しばらくその場だけ沈黙が続いたが、一人、二人と我に返り、気付いたらその場には僕だけが立ち尽くしていた。
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