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(花?草の匂い??)
雷炎は目が覚めたら、さっきとは違う平原にいた。
違うと感じたのはさっきまでの禍々しさがないからだ。
「ここ…どこだ…?」
辺りを見回した。頭を打ったのかズキズキする。と、
…バサッ…バサ
不意に翼の音が聞こえた。
驚いたものの、音の正体を確かめるため、音の方へ向った。
そこで変なものを見つけてしまった。
黒く死神の翼をつけた男の子。
いや、男の子ですらないかもしれない。とにかく人ではないことは確かで…
「な、なんだあれ?!」
思わず、何か恐ろしい感じの雰囲気を持った少年にあぜんとした。
と、突然その少年が口を開いた。
「君は僕の邪魔をする者のようだ…。ならば、消えてのもらおう」
いきなり攻撃を仕掛けてきた。
身の危険を感じ、身構えた時には遅く。技が放たれる寸前!!
(ちくしょう…!)
『アクア・アロー!!』
突然、雷炎の背後から少女の声がし、空から無数の針…ではなく、強力な威力を持った水の針が少年めがけて振っていった。
しかし少年は軽々とそれをかわす。
「フフフ。強い女の子だね。気が変わったよ。次に出会ったら君を殺す。僕の名前を覚えておきなよ。アトゥム・グリムストだよ」
そう言って、すぅぅと黒い霧の中に消えていった。
突然の訳のわからない出来事に硬直していた雷炎はホッと肩の力を抜いた。
が、すぐにハッとなり背後を振り向いた。
そこに、少女はいなかった。
「お前…ここで何をしている。ここは最近、反逆者どもが住み着いているんだぞ!!」
いきなり前の方から声がした。振り返ると目の前に少女が立っていた。
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