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その少女は、クリーム色のマントをつけており、金髪のショートで、左目が緑で右目が青く…。右目を見るとなんかうごめいているような…。
とまあ、不思議な雰囲気の普通の少女っぽいが、不思議な形をした紫のステッキを持っていて、強そうな魔女っぽかった。
(いつの間に前にいんだよ!!)
「な、何をって、オレ気が付いたらここにいたんだよ。そういや、ここどこだ?」
「…アライル平原の北…ん?その刻印…」
少女は雷炎の右腕にある刻印を見てつぶやく。
(こいつ…もしや…)
一方雷炎は少女を見て、
(こいつ、いったい何者なんだよ。ま、でも助けてくれたんだし…て、ヤベ!刻印隠すの忘れてた!)
「さっきはありがとな!オレは雷炎火蝋って言うんだ。お前は?」
少女は一瞬迷うそぶりを見せ、
「……私は、ウィング・テラノグラス・ユイン…。北西にあるウィルステインの貴族だ…」
………一じんの風が吹く。
「き…貴族ーーーーーー!!!!!」
思いっきり身をひいた。
この世界では下から順に書記使。上級魔法使。大臣魔級。貴族魔級の順に階級がある。
ちなみに、雷炎は上級魔法使だ。
ユインは魔法のスペシャリストの貴族クラス。
普通なら上級魔法使クラスの輩が話ができる相手ではない。
「ククク。驚くのも無理ない…。安心しろ。今はわけありで旅をしているだけの旅人だ。貴族というのは…黙っといてくれるか?色々…面倒なんだ」
反応が面白かったのかクスリと笑って言った。
「え、そりゃ、だまとけって言われたらだまっとくぜ」
(じゃあ、なんでオレには言ったんだ?)
不安を抱きつつ、
「なぁ、オレが元の場所に帰れる方法、一緒に見つけてくれねえか?」
「そのつもりで名乗ったのだが…」
(え、マジで…あっさりOK!?)
流石に無理かなと思いながら聞いたのにあっさりOKをもらえたので反対にびっくりしてしまった。
「い、いいんだ。じゃあ場所移動しようぜ。村か町、国に行った方がいいと思うんだが。どこかあるか?」
ユインは一瞬考え込み
「ここから西に行ったところにボルノソルトという小さな村があったはずだ。そこに行くか…?」
「ああ。そうしよう」
雷炎の返事を聞くと、ユインはスタスタと歩き始めた。
雷炎が急いで後を追う。
これが、最大の冒険の幕開けだった
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