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希望に満ちた人々の夢は、悪夢へと変わった。
無論、人々は夢幻の中で起きたそのできごとさえ気づくこともなく、今宵も夢を見る。
闇と絶望が漆黒を現出させる悪夢を前に、人はただ夢を忘れることができるのか……。
愚問さえ混沌に消え行く中、夢と現実の境界が消滅する時は、刻一刻と近づいていた。
そんな中、夢が幻となりつつあるティタルメアに、一対の翼がはばたく。
闇が人々の夢を覆い尽くす中でも、その白銀色の羽根によって翼を織り成し、悪夢を浄化すべくその光をティタルメアに注ぐ。
そして、その希望の鍵を握る光の中心に彼はいた。
自らの興味の赴くままに世界を巡り、それら全てを収集する権利が与えられた書物を手にした彼の見据える先……。
その先にあるものを信じ、希望の翼が再び夢の世界へ希望を導く時は近い。
……。
悲しい過去。
逃避したい現在。
不安で真っ暗な未来……。
それらは、どれも人が夢に逃げてもいい理由にはならない。
しかし、人が暮らすべき場所がどこであるかさえ、苦しい現実の中で忘れ去られてしまう。
現実そのものの存在を拒絶してきた者が、それらから逃げ延びるために築き上げた夢幻郷。
今再び、夢と現の境界が崩壊の秒読みを刻もうとしていたのだった。
…―
夢は変わる。
自らの夢を築こうとしていた少女は、ただひたすらにそれを望んでいた。
叶うはずもない夢を叶えるべく、少女も現実を捨てて『夢幻の門』を潜ったのだろう。
そこで彼女は一本の短剣を手に入れた……。
現実に、自らの夢を具現化させるべく力を解き放った短剣は、夢と現実を繋げるべくティタルメアという箱庭を指揮する核となりつつある。
誰にも止められない……。
止めることさえ敵わない人々は、夢に幽閉されたまま変わり行く夢の末路を見届けるしかない。
それらの思いを汲み取るかのように、一人のコレクターが彼女の夢を見定めていた。
まるで、創始者たる少女の夢に迷い込んだ自らの役割を見極めるかの如く、その瞳はティタルメアの行く末を見守る。
夢の在り方が、人々の胸の中に秘められていることを信じて……。
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