51人が本棚に入れています
本棚に追加
/350ページ
#04~夢現を繋げる者
―
悪夢の元凶が白日の元へ晒されつつある夢幻の世界。
現実を失い、夢に幽閉された人々の思いは膨張し、現実世界へ崩壊の秒読みを告げていた。
崩壊を止めるべく、悪夢に対峙する者達の思いが、敵対する夢の思念とぶつかり合う。
そんな夢と現実の激突の傍らには、常に少女の視線があった。
戦いを見つめる少女の手には、夢の元凶を生み出す短剣が握られている。
現実を失い、夢の世界を作り出した膨大な力は、それを所持する少女の思いさえも霞ませてしまう。
手を伸ばしても届かない夢幻の壁。
彼女の名を呼び、夢の底から少女を必死に助けようとする誰かの声がこだまする。
無情にも、掻き消される声……。
虚しくも、届くことなく伸ばされた手……。
その思いが少女へ導かれることを信じて、彼女はひたすらに悪夢の闇と葛藤するのだった。
……。
悪夢の世界に迷い込んだ者達を、先導するかのように駆け出す無数の光。
その光を追う現実世界の来訪者達も、徐々に真相へたどり着こうとしている。
しかし、今だに光を頼りにすることなく、暗闇の中を歩む者がいた。
古のコレクターの意思を継ぎ、自らの興味の向けられた先に道を見出だす青年の光が、少女に白銀の羽根を届ける。
閉鎖された悪夢が、光の訪れとともに僅かに軋んだ。
…―
最初のコメントを投稿しよう!