記憶道-亮佑の日記-

6/9
前へ
/25ページ
次へ
6月15日   昨日の事を整理する     俺は秀次が家に帰るっていうから少し見送りをした   ほんの少し     そこにトラックが突っ込んできた 細い道だった   秀次は俺を突き飛ばして   弾かれた     叫ぶ俺の横で トラックの運転手が、救急車を呼ぶ   病院に着き、 何時間か過ぎると 秀次の「死」を伝えられた   気が付くと俺は自分の家に向かって走っていた   何でそうしたのか分からない   いや、逃げたのか、現実から   家に着き横になった   眠れなくても寝ようとした   午後五時、ふと机に目をやると、秀次の家の鍵があった   あいつ、忘れてたのか、 と、少し笑った後   こんな時でも笑えてしまう自分に絶望した   頭の中で秀次との記憶と死んだ秀次の姿が駆け回る中、俺はあいつの家へ向かっていた   不思議な事に、一度も事故には合わなかった 身の危険すら感じなかった   秀次の家に着き 中に入る   「おじゃまします」 なぜか言わずにはいれなかった     綺麗な部屋だ   壁に張った趣味のいいポスターは 俺が秀次に勧めたマイナーなバンドのものだ   そんな事まで考えてしまう、 俺は秀次を過去にするつもりなのか?   机の上のノートが目に入った   表紙に「記憶歩」と書かれている   俺はそこに書かれた事実に驚き、家に帰った         秀次の日記に書かれていた事、   6月12日に俺が死んだ事 6月13日から6月11日にタイムスリップした事 俺を襲った沢山の事故の事 俺を助けられないと悟った事     ただ、この秀次の日記には印されなかった事が一つだけある   秀次が死んだ事で、俺が助かった事   秀次は、俺の犠牲になった   それは、俺にとって涙が出る程悲しい事     でも、今俺は泣いていない   左回りの時計に気付いたから   戻る!あの日に   やることは一つ   助ける、、、
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加