記憶歩-秀次の日記-

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6月12日 今日、俺は例の場所で待ち伏せしていた   そして、例の時間、亮佑が現れたので、偶然を装って話しかける 「あれ?亮佑?奇遇じゃん」   「あぁ…」   素っ気ない返事に俺は少し違和感を感じた     その時、俺たちの横を信号無視のトラックが通り過ぎた   今ので間違いない 亮佑を救えた   安堵した俺は亮佑を家に誘った   昨日の態度とは一変、快く承諾する亮佑       家に着くと、 俺たちは珍しく語り合った       昔話をする亮佑の顔は何処か寂しげだったけど       亮佑が突然、不思議な事を言った         「助けたい人を助けられないと知ったら、オマエならどうする?」     何を言ってるんだ?       「助けるよ、俺は」 俺は深く考えずに答えた とっさに出た言葉だ     「そうだよな、決めた、俺は助ける。死んでも助ける」   「それが一番お前らしいよ。がんばれ」     俺は亮佑を助ける事ができた 人を助けるなんて、思ったより簡単な事なのかもしれない。 それに、亮佑は強い男だ   俺に出来て、あいつに出来ない事なんてない     勉強以外は…         帰り際、亮佑はこう言った 「オマエ、今、助けたい人はいるか?」     助けたい人… 亮佑は助ける事ができた     「今は居ないけど、沙恵は守らないとな」       「のろけかよ」   亮佑は笑いながらそう言って帰っていった     沙恵、そういえば一週間くらい会ってないな…
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