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横浜市立明協学園中学三年生、仙石アキラはC-10の高級住宅街に居た。
彼は今、住宅街のその路地裏で支給品の一つであるマーレリングと匣兵器に四苦八苦していた。
沢田綱吉らが存在していた世界では、死ぬ気の炎をリングと呼ばれる指輪に灯すことが戦闘の基本となっていた。
そうしたリングの中で最高の存在とされるボンゴレリングと対の存在とされるのがマーレリングである。
しかし現在マーレリングを持つのは、死ぬ気の炎だのリングだのといった単語を説明書を読んで初めて聞き知ったただの中学生だ。
先程から何度も試してはいるがリングに炎など灯らない。
みんなを守る力を得られるならばと試してみたが、説明書に書かれていることが虚偽である可能性に思い至り、ついにはやめてしまった。
結局彼は匣兵器をポケットにしまい、リングは指につけっぱなしで、まだ見ぬ三つ目の支給品を取り出した。
分厚い紙の束だ。
表紙には『詳細名簿』
「なるほど」
そこには名前の他にも顔写真、身体的特徴、性格、経歴、他の参加者との関係などが表記されていた。
「取りあえず仲間にできそうな奴と危険そうな奴はチェックしとこう。」
そして、20分後。
粗方参加人物のチェックが終わった。
「第一目標はりおんや真理谷との合流。その途中で協力できそうな奴を集めて脱出を目指す。
こんなところかな。」
行動方針を口に出して確認してデイパックを背負って立ち上がったその時。
アキラの視界には銃口をこちらに向ける桐山和雄が映った。
そして、間髪入れずに銃声が響いた。
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