11人が本棚に入れています
本棚に追加
/124ページ
桐山はヒラリと塀から下りて距離を詰めてくる。確実にトドメを刺すためだろう。
そう認識したアキラは今までに起こった様々なことを思い返していた。
日本にいた頃は落ちこぼれの問題児と言われていたこと、修学旅行の帰りに飛行機事故に遭ったこと、恐ろしい絶滅動物が跋扈する無人島に投げ出されたこと、そこで多くの出逢いと別れがあったこと、みんなが安心できる「国」を作ろうとしたこと。
最後に浮かんだのはベースの仲間たち。そして幼なじみの赤神りおん。
(そうだ!こんなもん見てる場合じゃねー!
俺にはやらなきゃいけないことがたくさんある!みんなといっしょに日本に帰るんだ!)
アキラの目に光が戻る。
そしてあらんかぎりの声で叫んだ。
「こんな所で死んでやれるか!!」
その声に呼応するかのように、マーレリングに橙色の炎が灯った。
最初のコメントを投稿しよう!