タケルがきたワケ

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タケルがきたワケ

何故タケルがこの場所にきたかというと、夏休みに入ったばかりの頃にまで遡らなければならない。 タケルはたまには顔を見せに来いという両親から電話で休み早々に実家に行くことにした。 (あぁ、なんか別に目的ありそうなんだよなぁ。) そんなことを思いながら電車を乗り継ぎ隣の市にある実家に向かう。 ガチャッ ドアを開けるなり母親が 「あんた、たまには顔見せにきなさい。」 電話とかわらない言葉と口調でいう。 「来たんだから部屋片して帰りなさい。あの部屋使いたいのよ。」 タケルの予感が的中したように母親の指令が降りる。 (これが一番の理由か。めんどくさっ。) まぁ相変わらずだなと思いながら部屋を片付けていく。 「うわっ。この中物だらけだよ。」 押し入れをしばらくあさっていると中から懐かしいクッキーの缶が出てきた。 「これ、俺が中学の時に大事なものしまってたやつだ。」 タケルは中に何が入っているかは忘れていたが、宝箱をあけるかのようにそっとフタをあけた。 (まじで懐かしいな。) そこには今のタケルが見ればガラクタのようなオモチャやカードが入っていた。 「よく集めてたっけ。」 懐かしむように缶の中の物を手に取っていくと底に封筒に入った何かがある。
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