賢者達のお誘い(はぁと)

7/51

43731人が本棚に入れています
本棚に追加
/1105ページ
「新しい賢者は……三百六十四年振りね。どんな人物なのかしら」 その人物は、その無機質な程に人間離れしている美貌を蝋燭に照らされながら、独白する。 「此れで賢者は六人目………何を目の当たりにし、何を感じ、何を想い、何を成したいが為に………賢者となったのか。見極めなければいけないのね………出過ぎた真似だとは解っているのだけれど」 独白を続けながら、その身から白いネグリジェをストンと落とす。精巧に造られた人形の様に流麗な曲線を描く、その人物の身体。 今度は赤と黒のシックなドレスに身を包んだその人物は、ヒールを履き、大胆に歩いて部屋の重い扉を開く。 「さぁ………楽しい忘年会を始めましょうか」 ずっと無機質だった表情を崩し、その人物─────イリア=エリュシオンは、美しく微笑んだ。 世界の知識が集約されたその頭の中で、イリア=エリュシオンという人物が何を考えているのかは─────まだ、誰も知らない。
/1105ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43731人が本棚に入れています
本棚に追加