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「新しい賢者は……三百六十四年振りね。どんな人物なのかしら」
その人物は、その無機質な程に人間離れしている美貌を蝋燭に照らされながら、独白する。
「此れで賢者は六人目………何を目の当たりにし、何を感じ、何を想い、何を成したいが為に………賢者となったのか。見極めなければいけないのね………出過ぎた真似だとは解っているのだけれど」
独白を続けながら、その身から白いネグリジェをストンと落とす。精巧に造られた人形の様に流麗な曲線を描く、その人物の身体。
今度は赤と黒のシックなドレスに身を包んだその人物は、ヒールを履き、大胆に歩いて部屋の重い扉を開く。
「さぁ………楽しい忘年会を始めましょうか」
ずっと無機質だった表情を崩し、その人物─────イリア=エリュシオンは、美しく微笑んだ。
世界の知識が集約されたその頭の中で、イリア=エリュシオンという人物が何を考えているのかは─────まだ、誰も知らない。
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