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煌夜は麗人の後ろを付いていきながら、屋敷の内部を観察していく。
ラフィルという人物は緑や水色が好きな様で、装飾の絵画や垂れ幕、壺などの色彩はそれらが多い。
決して強い色使いではなく、背景の茶や赤と調和している。
「この部屋に、ラフィル様はいらっしゃいます」
ぴたりと止まった麗人の正面には、両開きの立派な扉。
黄金のドアノブに手を掛けながら、麗人は口を開く。
「くれぐれも、ラフィル様に失礼のないようにお願いします」
「はい。分かってます」
「では………ラフィル様、客人を連れて参りました」
「入りなさい」
麗人の声に答えたのは、落ち着いた綺麗な低音。
少し冷たさを感じさせる声だが、冷酷ではない事が分かる様な声だった。
「どうぞ」
「失礼します」
煌夜は開かれた扉から、ラフィルという人物の居る部屋へ、足を踏み入れた。
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