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細身な木々の間に出来た小さな獣道を、木漏れ日の下歩む。
まるで奇蹟のような景色に心を踊らせながら進むと、唐突に獣道は終わりを迎える。
そこは、まさしく世界の奇蹟の中心だった。
煌夜の数歩先から広がるのは、浅く、だが生命の息吹を感じさせる広い泉。
森中央部の近く存在するこの泉は、周りを木々に囲まれながらその範囲を広げてきたらしく、泉の中からも所々木々が成長している。
反射される木漏れ日に煌夜は片手を翳しながら、奥を見つめる。
泉の中心。
途中からへし折れ、苔すら生えている大樹の根元に《それ》は居た。
「…………聖龍」
神聖を名に含む所以は、やはりその姿にあるのだろう。
超然、神聖、優美、玲瓏、優雅─────如何なる言葉で表現出来るのだろうか。
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