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白く滑らかな鱗が身体を覆い、尻尾の先には水色の毛が生えた、たおやかで、それほど大きくもない身体を横たえ聖龍は瞳を閉じていた。
煌夜は波紋を立てながら泉の上を進み、遂に何事もなく聖龍の目の前に辿り着く。
そして、そっと語り掛けた。
「………起きてるか?」
静寂が生まれ、煌夜と聖龍の間を一陣の風が吹き抜けてゆく。
その風はそのまま木々を揺らし、さわさわと小気味よい音を立てる。
煌夜は返事が無いことに少し安堵し、また出直そうと踵を返そうとした。
しかし、
『────今、起きたよ』
幼さを感じさせる、少年のような少女のような声が、煌夜の頭に響く。
煌夜は驚き、ゆっくりと瞳を開いた聖龍を凝視してしまう。
『なに?なにか用があるんでしょ』
「あ、あぁ。」
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