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黒い塊としか見えないそれに駆け寄った煌夜は、魔法陣を展開しながら声を掛ける。
「おい、大丈夫か!!」
「………ぅ………ぁ………」
「(この傷は不味い!!)」
煌夜が展開していた魔法陣は、怪我の具合を確かめる為のものだったらしい。
一刻を争うと判断した煌夜は、治療を始めようとし────、
「離れて!!」
「げはぁッ!?」
横から、レインのタックルで吹き飛ばされる。
二人は勢いのまま転がり、木にぶつかって止まった。
「っ、レイン!!何すんだ!!」
「気を付けて!!あの人間、バンパイアに感染させられてる!!」
叱りつけようとした煌夜を抑え、レインは立ち上がってそれを睨む。
「感染初期は吸血衝動をコントロール出来ないの。視たところ、そろそろ───」
むくりと、黒い塊が立ち上がる。
黒いローブ───元は仕立ての良かったと分かる───を纏っているのは、まだ幼い少年だった。
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