主人公とは一体なんなのか。

4/37
43731人が本棚に入れています
本棚に追加
/1105ページ
黒い塊としか見えないそれに駆け寄った煌夜は、魔法陣を展開しながら声を掛ける。 「おい、大丈夫か!!」 「………ぅ………ぁ………」 「(この傷は不味い!!)」 煌夜が展開していた魔法陣は、怪我の具合を確かめる為のものだったらしい。 一刻を争うと判断した煌夜は、治療を始めようとし────、 「離れて!!」 「げはぁッ!?」 横から、レインのタックルで吹き飛ばされる。 二人は勢いのまま転がり、木にぶつかって止まった。 「っ、レイン!!何すんだ!!」 「気を付けて!!あの人間、バンパイアに感染させられてる!!」 叱りつけようとした煌夜を抑え、レインは立ち上がってそれを睨む。 「感染初期は吸血衝動をコントロール出来ないの。視たところ、そろそろ───」 むくりと、黒い塊が立ち上がる。 黒いローブ───元は仕立ての良かったと分かる───を纏っているのは、まだ幼い少年だった。
/1105ページ

最初のコメントを投稿しよう!