43733人が本棚に入れています
本棚に追加
すると、空中に半透明なスクリーンが浮かび上がり、少年の記憶が再生される。
飛ばし飛ばしに流れていく記憶を見ていたが、その生い立ちは理想的なものだった。
東の貴族に産まれ、優しい両親と使用人、可愛い妹に囲まれて育ち、本人も穏やかな気性を持つ。
豊かな魔法の才能の片鱗を僅か十歳にして現し、周囲を驚かせていた様だ。
「何と言うか、凄いな」
「そうね。マナに愛されてるみたい」
「それは珍しい………」
そして遂に、バンパイア襲来の場面へ移る。
舞台は満月の夜。
バンパイアはやはり狂っていたらしく、狂笑を辺りに響かせながら、自身の弱点であるはずの炎を屋敷に広げていく。
炎に照らされるのは、惨殺された使用人と親の姿。
少年の視界はブレて消えかけるが、バンパイアに首を持ち上げられて意識を戻される。
最初のコメントを投稿しよう!