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「君は本当に無欲なんですね」
ランスさんにそう言われた。
無欲なわけでは無いけれど、ただそんなに欲しいと思わないだけ。
欲しいものと言えば、それは…
「僕にも欲しいもの、ありますよ」
「なんです………!」
目の前の彼にキスをする。
軽いリップ音が鳴り響いた。
びっくりしてるけど、すぐに嫌味な笑みを浮かべて唇を奪われた。
。
僕にも欲しいものくらい、有るんだよ?
「…僕の欲しいもの、分かりました?」
「さぁ?どう解釈すれば良いのでしょう」
「お好きにどうぞ」
そのままベッドに直行。
大人ってズルイ。
だって、僕の欲しい言葉を分かってて言わないんだから、相当の意地悪だ。
「ランスさん…好きですか?」
「嫌いではないですよ」
そうやってごまかして、貴方って人は本当にズルイ人。
そんな貴方に惹かれてる僕も、想いを言葉に出さない。
僕も狡い、ですよね。
お互いそろそろ譲り合っても良いと思うけれど、そうはしない。
だって、僕は貴方から言って貰いたいんだから。
そして、貴方は僕から言ってもらいたいんですよね。
ただ、お互いに素直になれないだけなんて、
僕たちは分かっている。
狡いのはどっち?
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