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ここは、学校の図書室。
私の大切な場所。
今日も私は本を読みに訪れた。
大切な彼と一緒に。
「この本はね。ミステリーだけど、登場人物が個性的で結構読みやすいよ。それに、ストーリーがすごくいいの。最後は大どんでん返しだし、今一番のおススメ~って聞いてるの?」
仲良く隣の席で一つの本を挟み、神谷に熱弁をふるう私。
だけど、神谷は頬杖をつきながら、本ではなく私のおさげをずっといじっている。
「ん~? 聞いてるよ~」
そんなふうには全く見えない。
「もう、触らないで!」
神谷の手からおさげを奪い返すと、べーっと舌をだし、くるっと背を向け、本を読み出した。
お気に入りのおさげを奪われ、不満の神谷の瞳がきらりと光る。
後ろから手を伸ばし、私からすばやく本を奪ったのだ。
「何すんのよ!」
怒った私が、神谷の方へと振り返ると、すばやく顔を近づけてきた。
見開きの本の裏で重なり合う唇。
ゆっくり離れると、神谷が舌をだし、言った。
「仕返し」
その後、顔が真っ赤に染まった私に、平手打ちを食らったのは言うまでもない。
完
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