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館の中に絹を引き裂くような女の悲鳴が響き渡る。
黒スーツをキッチリと着込んだ女がその悲鳴がした方に走り出すと部屋の前に使用人の女が尻餅をついて部屋の一点に釘付けになっていた。
「どうしました?」
黒スーツの女が落ち着いた様子で尻餅をついた使用人の女に聞いた。
しかし、使用人の女は満足に喋ることも出来ずに部屋の中にガタガタと震える指を差した。
そこには─────。
「茂信さん……」
館の主人である長谷川 茂信さんがベッドの上で“死んでいた”。
確認した訳ではないのだが、腹部からの大量の出血。それは生きている事を否定するには十分の量だった。
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