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「わ、わたしっ、初めて見た時、すっごいかっこいいと思って、て、それ、でっ」
「ふうん」
裏庭、二人の男女。男は高い身長にすらりと長い手足に無駄のないしなやかな肢体。そして何より、端麗な顔をしていた。
一方女は、緩く巻いた髪にぱっちりとした瞳に長い睫毛。施された化粧はより魅力を引き立てて、一見すれば男が放っておけないような、そんな少女だった。
少女の顔は赤く色付いて、上目遣いに男を見つめる。
普通の男ならばときめくそんな状況で、当の倉橋淳也(くらはし・じゅんや)はひたすら無関心だった。
「――っ私! 倉橋君が好き! 付き合ってください!」
「あー……ごめん」
「淳也! お前あの沙羅ちゃんにコクられたってまじか!」
「誰だよ。まあ告白はされた、断ったけど」
「な~ん~で~断るんだよー!! お前どんだけ理想高いの! 沙羅ちゃん断るとかお前は女に何を求めてんの! あんなに理想を凝縮した女もいないだろー!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ友人に淳也はうるさいと耳を塞いだ。
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