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わかってない?
「(わかってないのはアンタよ!)」
超可愛い?
「(ど こ が よ !)」
眉間にシワを寄せて。大股で短いスカートを揺らし歩く。緩く巻いた茶色い髪もふわりと揺れ、ばっちりと施された化粧は毎朝念入りにしている自信作だ。
それは自分をより良く見て欲しいからである。出来れば、あの男に。まあ、その本人は――
「間野さんよね」
「えっ?」
この、化粧もしていない、髪も真っ黒無造作な1つ縛り、加えて……
「は、はい、私は間野、です」
自分よりずっとふっくらとした肥満体である彼女ばかり気にかけているのだが。
「(何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で!!)」
見れば見るほど、そればかりが頭を占める。
ぎゅう、と拳を握る。爪だって綺麗に施しているのに! 眼前に映る女の指を見れば、短く切られ何の施しもない爪がある。
「(何でよ!)」
「あ、あの……」
困惑した表情で、彼女が声を漏らす。
「な、何かご用ですか?」
名前を尋ねたきり黙った原町にそう問い掛ける。原町はギロッ、と雪音を睨んだ。
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