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「……アタシは原町水菜」
「あ、間野雪音です」
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「ふぅん、名前は可愛いのね」
「ど、どうもです……?」
原町のギスギスな嫌味に、雪音は曖昧に笑いながら首を傾げる。どう見ても初対面なのに何故こんなにも敵意を向けられているのだろうか。原町の威圧感に、雪音は縮こまるばかりであった。
「倉橋淳也と、仲良いの?」
「倉橋くん、ですか? よくしてもらっては、います」
仲良しだ、ときっぱり言うのに気が引けてそう答えた。自信がなかった、というのが正しいのかも知れない。
原町はそう、とどうでも良さそうに言って、「どういう関係なの」と問う。
「どういう、と言われても……、友達、です」
「へえ。アタシは同じクラス、隣の席、なんだけどね」
「は、はあ」
「じゃあどう思ってるの?」
「え、あ、あの」
しどろもどろになる雪音に、原町はギロンと鋭い視線を向ける。
「好きなの?」
「え、あ、やっ、あの、わたし」
「どうなの!」
「まあ普通に好き、です」
「へえ?」
「と、友達、として」
その言葉に、今まで険しい面持ちだった原町がようやく笑みを見せる。形容するならニヤリ、といったような笑みを。
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