道志村

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のびて太はスネヲをただの詐欺師だと決めつけた。 「…つ、次はもっと良いもん見せてやるよっ💦」 スネヲはそう言ってまた車を走らせる。 が、助手席にいるのびて太の心には響かない。 はいはいって感じである 黒いワゴンRは山道を走る。 ひたすら続く一本の険しい山道。 いつのまにか山梨県に入っていた。 ここは南都留郡 道志村 “村”である。 (村とかどんな田舎だよ!村とか…村とか…村とか…) のびて太はなぜかムラムラしてきて携帯を開いた。 そして唖然とした。 200件着信あり (誰だろう…) 履歴を見るが 全て非通知設定されている。 のびて太のムラムラは止まらない。 と、その時! また非通知から電話がかかってきた。 すかさず通話ボタンを押すのびて太 「はいっ!も、もしもしもしっ!」 ムラムラしすぎて“もし”を3回言ってしまうのびて太。 「…グスン。」 女の人の泣き声が聞こえる。 驚くのびて太 「お、お化けですか?」 「…のびて太…?」 その声を聞いてピンときた。 「あ!お父さん?」 「…お母さんだよ。」 のびて太は言葉を失った。 「…のびて太…あんた今どこいるの?」 「あ…ああ…今ね道志村だよ…」 「…え、道志村? なんだかムラムラする名前ね。」 さすがのびて太母である。 「いちいちうっせーな!ムラムラなんかしねえよ!」 反抗期らしいのびて太の台詞である。 「…とりあえず無事で安心した…旅、頑張るのよ。プチッ」 プチッ ツーツーツー なぜ切る前に口でプチッと言ったんだろう… のびて太は理解に苦しんだ。
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