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俺は大きなため息をつくと、鞄から折り畳み傘を取り出してゆっくりと歩き出す。
俺はいったいどうしたらいいんだろう……
亜生のことは諦めた訳じゃない。
そのはずなのに、小百合にいろいろ言われてから自分が本当に望んでいるものが何なのかが分からなくなっていた……
「俺に……何ができんだろうな……」
俺は空を見上げ、何を考えるわけでもなく、ただ歩き出した。
――風鳴総合病院
気づくと俺は病院の前まで来ていた。
不安だから無意識のうちに来てしまったのか、病院なら誰とも関わらずにすむからか……
それは俺には分からない。
でも、来てしまったのは仕方ないので、俺はとりあえず亜生の病室に行くことにした。
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