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「兄さん、朝ですよ?」
朝起きたら妹がいた。
別に仲の良い妹が優しく起こしに来てくれたわけじゃない。いや、確かに優しく起こしてくれはしたがそれ以前に俺には妹なんていない。両親に隠し子でもいるなら別だがそんな気配は無いしそもそも今俺は一人暮らしで両親は海外赴任だ。……じゃあ目の前のこいつは誰だ?
「兄さん?遅刻しちゃいますよ?」
「誰だ…?お前…」
「兄さん…?寝ぼけてますね?寝ぼけててもこのかの事を忘れるなんて悲しいの」
半ば寝ぼけたままの俺はこのかと名乗った妹らしき人物に促され洗面所で顔を洗い、朝食を食べて学校へ行こうとし……
「…ってちょっと待て!いくら思い返してみても俺は一人っ子で妹なんかいないッ!」
「兄さん寝ぼけはもういいの。早くしないと遅刻しちゃいますよ?ほら、お弁当も作りましたから忘れず持っていってくださいね?ではいってらっしゃいなの」
俺の叫びは完全無視されました。
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