桜の散る頃に

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「あぁっ」 なんで 「くそっ」 こんなことに 「ちくしょぉっ!!」 「はい、凜ちゃんの連敗記録更新で~す」 「凜くん、ほんとに弱いねぇ」 大富豪で負け通しだ。 「他は異常なくらい強いくせにな」 「う…」 「ほんと不思議だよね~」 「うぅ」 「まぁこのくらいの弱点なきゃな」 「ちくしょお…」 何故か自習中にトランプを持ち出した元春に乗せられて何度も大貧民におとしめられている。 「そーいやよ」 「なんだよ」 「あーなんでもない」 「気になるだろ」 「言わない」 「言えよ」 「やだ」 「ふふふっ」 子供っぽいやりとりにくすくすと笑う委員長。 「「なんだよ、いいんちょ」」 「仲がいいんだなぁって」 ニコニコする委員長、お互いを見合わせるオレと元春。 「まぁ、腐れ縁だし」 「だよな」 「うらやましいなぁ」 「そうか?」 「私、二人みたいな仲の子いないからね」 微笑む彼女は少し寂しげだった。 元春と目の合ったオレは、たぶん同じ考えが浮かんでいた。 「「オレら三人が腐れ縁だろ?」」 委員長はびっくりした様子のあと、一瞬寂しそうな、嬉しそうな、なんとも言えない顔をした後に笑みを浮かべた。 「ありがとう」
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