四月、ある朝

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ポカポカとした陽気の朝。 7時35分、家を出る。 キィキィと錆びついた車輪が悲鳴をあげ、僕の身体を運んでいく。 のんびりとした朝の風景。 耳に流れる音楽はそんな風景とはあまりにミスマッチなUKパンク。 緩やかな左カーブの上り坂を立ち漕ぎでぐんぐん上っていく。 息のあがる程にリズムにノッて自転車を飛ばす。 上り坂の終わりと共に校門をくぐる。 二年の新学期、始業式だ。 こんな日は何かが変わるかもなんて淡い期待もせず。 いつも通りに駐輪場に自転車をいれる。 始業式ってだけあって自転車の数も多くて場所がない。 隙間を見つけ、そこに無理矢理自転車を押し込もうと降りたその時。 「―――いてぇぇ!!!!」 外れかけたイヤホンの隙間から誰かの声が聞こえた。 振り返ろうとした瞬間。 強い衝撃がオレを襲った。
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