赤い駿馬と銀の駄馬

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「なんだったんだろうなぁ…」 「ん?なにが?」 「いいんちょがなんかキョトンとしたからさぁ」 「さぁな、いいんちょはいつもキョトンとしてるだろ」 「うーん、そうかぁ?」 腕を組んで空を見上げる。 雲の切れ間は青い青い空がある。 広がる雲は所々切れ間が覗き光が差し込む。 「凜」 「あ?」 「バカ」 「なんだよ」 「知ーらね」 机から雑誌を取り出し、読みはじめる元春。 また空に目を向ける。 流れる雲は形を変える。 毎日顔を突き合わす四宮、事あるごとに勝負勝負と言ってくる。 そう、例えば 「今日はテニスで勝負!!」 とか 「ゲーセンと言ったらアイアンフィスト(格ゲー)で勝負!!」 とか 何度も勝負した。 元春は変わらず、 「凜ちゃんタクシー」 とか 「お、あの子は」 とか いつもの元春。 愛は若干変わったような気がした。 髪型がよく変わったし、いつもより一緒の時間は減っていた。
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