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四宮は事あるごとに勝負と言ってきた。
スポーツ、ゲーム、登校の時の競争。
顔を突き合わす度にほぼ毎日勝負をさせられた。
そして、事あるごとにオレが勝負に勝っていた。
そのたび四宮は
「これで勝ったと思うなよー!!」
と捨て台詞を吐いて走り去る。
そんなことの続くある日、オレは自販機でコーヒーを買った。
学校は飲み物が安くて助かる。
硬貨を投入する音が背後から聞こえた。
そして
「あぁっ!!」
という声も同時に。
振り返るとそこにはこちらを睨む四宮がいた。
「よ、よう」
「お前の仕業かっ!!雪村凜っ!!」
「はぁ!?」
「これで勝ったと思うなよー!!」
「おっおいっ」
全速力で駆け出す四宮の背中を見送っていると、
「な~にしてんの、凜ちゃん」
後ろで事の顛末を見届けた元春が笑いながら声をかけてくる。
「なんでもねぇよ」
「へぇ~…」
オレからコーヒーを奪い取りながら呟く。
「ふぅん、あれが四宮早希…か」
「なんだよ」
「なぁんも~」
そのまま背を向け歩き出す。
四宮の走り去った廊下に後ろ髪を引かれつつ、元春を追いかけた。
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