勝負の行方

2/6
前へ
/99ページ
次へ
四宮は事あるごとに勝負と言ってきた。 スポーツ、ゲーム、登校の時の競争。 顔を突き合わす度にほぼ毎日勝負をさせられた。 そして、事あるごとにオレが勝負に勝っていた。 そのたび四宮は 「これで勝ったと思うなよー!!」 と捨て台詞を吐いて走り去る。 そんなことの続くある日、オレは自販機でコーヒーを買った。 学校は飲み物が安くて助かる。 硬貨を投入する音が背後から聞こえた。 そして 「あぁっ!!」 という声も同時に。 振り返るとそこにはこちらを睨む四宮がいた。 「よ、よう」 「お前の仕業かっ!!雪村凜っ!!」 「はぁ!?」 「これで勝ったと思うなよー!!」 「おっおいっ」 全速力で駆け出す四宮の背中を見送っていると、 「な~にしてんの、凜ちゃん」 後ろで事の顛末を見届けた元春が笑いながら声をかけてくる。 「なんでもねぇよ」 「へぇ~…」 オレからコーヒーを奪い取りながら呟く。 「ふぅん、あれが四宮早希…か」 「なんだよ」 「なぁんも~」 そのまま背を向け歩き出す。 四宮の走り去った廊下に後ろ髪を引かれつつ、元春を追いかけた。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加