四月、ある朝

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赤いMTBが宙を舞っている。 あれはオレのボロチャリじゃないなぁ、なんてのんきに構えていたら今度はオレに何かがのしかかって来た。 とにかく視認出来たのは、人の足らしきモノ。 そして膝まであるソックス。 女の子だ。 女の子がぶつかってきて、MTBを宙に舞わせ、オレにのしかかってきたのだ。 「っー!!」 女の子は即座に立ち上がると、MTBを起こして駐輪場に停め、オレを一睨みすると校舎に駆けて行った。 「いったいなんだっての?」 身体を起こしながら、自分の自転車を確認する。 籠こそ曲がってはいるが至って変化のないママチャリ。 (頑丈なもんだな、ママチャリ) そんなことを考えていたら、予鈴の鐘が鳴り響いた。
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