暗がりの雨空の下で

3/10
前へ
/99ページ
次へ
背中の暖かさを感じ、元春の嗚咽を聞く。 何も言えない、そして何も出来ない。 いや、何も言わず何もしないだけなんだ。 「わり…な」 「あぁ」 「自分本位に生きれたらな…」 「……」 「バカヤロー………」 力無い元春の拳がオレの背中を叩く。 「オレを叩くなって」 「凜ちゃんはいーの」 若干いつもの調子が戻る。 「んー少し、楽になったかな?」 「まぁ少しでも楽になれたならよかったさ?」 「んー、うーん」 のんびり走っていたおかげで元春の家にちょうど良く着いた。 「ほら、着いたぞ」 「えーまだ凜ちゃんといーたーいーのー」 「アホか、妹が心配すんぞ」 「あぁ夏姫なら、もうお兄ちゃん!!なんてって言ってます」 「あのお兄ちゃん子がなぁ」 「兄離れしたんだろー」
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加