暗がりの雨空の下で

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雨が降る朝、こんな日は自転車が使えない。 だから、バスを使って学校に行く。 元春との事から一週間、なんだか元春がよそよそしくなったような気がした。愛ともギクシャクしているみたいだ。そして、愛もよそよそしくなったようだった。 そんな6月の雨の日のバス。 窓から見える景色は見慣れた町並み。 「変わらない景色、か」 「変わらないと感じるのは、お前が興味持たないからさ」 隣に立つ元春が同じように外を見ながら呟く。 「興味を持たないから?」 「そう、興味ないものの変化には気付けないもんだからさ」 「そんなもんか」 元春は返事を返さず、気怠そうに外を眺め続けた。
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