四月、ある朝

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「はぁっはぁっ、な、んで、こんな、走ら、な、いけないん、だっつの」 始業式のホームルームに遅れるなんて、最悪だ。 前を歩く人影を見つけ、更にスピードを上げる。 「東先生、先に行きまっす」 「あ、雪村!!」 先生の手が空を切る。 トップスピードで教室に滑り込む。 「「せぇぇぇーふっ」」 腐れ縁の親友が声を揃える。 「遅かったなぁ、り~んちゃん」 「ちゃん付けやめろ、バカ春」 親友は高坂元春(こうさか もとはる)。 「凜くん、あんまりギリギリに学校来るのは感心しないよぉ」 「いいんちょ、実はかくかくしかじか」 「ふんふん、それじゃわかんないよー」 委員長、ほんとはクラスの副委員長。 名前は篠宮 愛(しのみや まな)。 「はーい、そこの三人も早く席ついてねー」 のんびりとした口調で語りかける担任。 東先生。 そんでもってオレは雪村 凜(ゆきむら りん) 今日は始業式。 「はい、じゃあ体育館に移動ね」
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