帰り道、桜の雨

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東先生が去ると、また長い話しが聞こえてくる。 (はぁ、暇だな) 周りを見渡すと少し土の付いた制服が目に入った。栗色の肩より伸びた髪が特徴的。 (あれ?なんで土なんか) 振り返った顔を見た時、わかった。 さっきの女子生徒だ。 「あ…」 「どした、凜」 「え、あ、いやなんでもない」 つい声が漏れた。 アーモンド型の双眸、通った鼻筋。うすく色付いた唇。 その整った顔には不似合いな大きな眼鏡をかけている。 ぶつかった時とは違う物静かな佇まい。 「不思議な奴」 それが第一印象。
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