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元春を降ろし自宅に帰る途中、河原の桜並木のそばを通った。
その桜の木の傍らに人影を見つけた。
それは朝の激突女、元春の言っていた早希だった。
彼女はキイキイと錆び付いた車輪の音に振り返った。
振り返った彼女に驚き止まってしまった。彼女の瞳はどこか儚げな光を宿していた。
見つづけているわけにもいかず、言葉をかけようにも気の効いた言葉が見つからない。
「あー乗ってくか?」
「……」
(ついて出た言葉がこれかよ…)
ボキャブラリーの無さとプレッシャーに弱いことにうんざりする。
「そういやMTBあるもんな」
「………」
尚も無言の彼女。
「じゃぁ、行くわ」
「乗せて」
「え?」
「後ろ、乗せて?」
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