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「フレズベルク。」
印を結んだ指にふっと息を吹きかけると、そこからくるくると渦巻く風が起きる。
やがてそれは大きくなると、二人を包み込む。
ビュォォオッ!
唸るような音と共に、風の渦は空に上がり、やがて連なる山の向こうに消えて行った。
そこに、銀髪の魔道士と黒猫と少女の姿は無かった。
「・・・村長。」
村人の一人が村長の傍に歩み寄る。
村長は、二人と一匹の消えて行った空をしばらく見上げた後、いまだ泣きわめく少年を一瞥して、その場を去った。
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