二人の夜

2/40
55540人が本棚に入れています
本棚に追加
/1021ページ
・・・ ・・・ ・・・  「つ…っ。」 夢見が悪く、起き上がると酷く頭が重かった。 ちょうどそこに、コンコンと外からドアをノックする音が聴こえてくる。 「あの、朝食ができました。ルース様?起きてらっしゃいますか?」 懐かしい夢の余韻から抜けきれずに、ルースは頭を抱えたまま、しばらく動けずにいた。 「…ルース様?」 様子を窺うような声がして、しばらくするとドアから離れて行く足音が聴こえた。 まだ寝ていると思ったのだろう。 シルファは、いつもと変わらない。 取り乱し、涙を見せたのもあれっきりで、屋敷に戻る頃には普段と変わらずに笑顔を見せた。 それが、無理やりだろうことぐらいはルースにもわかっていたが、そこに口を出すつもりはなかった。
/1021ページ

最初のコメントを投稿しよう!