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二人が会ったのは、5年ほど前になる。
アンジェラが、ギルドの命令でルースを追ってきた時だった。
「ルースっ。ルース=アストレイっ!いるんでしょっ?
あたし、アンジェラよっ。」
銀髪の魔道士が住むと言う山奥の屋敷を訪れたアンジェラは、屋敷の周辺に張り巡らされた侵入者避けを察知して、正面から入ることにした。
ルースのことは、よく覚えていた。
自分と同じ時期に、同じ特例枠で入学した10歳の少年。
銀の髪と氷のような瞳。
その人間離れした容姿と魔力は、当時学校中の噂の的でもあった。
アンジェラもまた、ルースに興味はあったが、人を寄せ付けないオーラを発する少年は、彼女がどんなに親しげに話しかけようと、応えることは無かった。
そうして、誰とも打ち解けないままで、ルース=アストレイは2年足らずの最短期間で卒業して行った。
ルースと会うのは、それ以来である。
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