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しばらくすると、黒猫を肩に乗せた長身の男が現れた。
「…ルース?」
その姿は、アンジェラの記憶から随分と変わっていた。
幼かった少年が、今はすっかりと大人の男になっている。
「アンジェラ=ウェイン…。」
「…そう。覚えてる?」
「ああ。馴れ馴れしくて、うるさい女。」
「…悪かったわね。これでも、あなたを心配して、声をかけてたのよ?」
口を開けば、記憶の中の少年とダブる。
「ギルドに行く気は無い。」
「どうして?あなたほどの力があれば…っ。」
「興味無い。」
「これは義務なのよっ?」
「何故?」
「…え?」
「何故…、力を酷使してまで人を救わなきゃいけない?何の関わりも無いのに。」
「…それは…っ。」
「魔力があるから?別に、好きでこうなったわけでもないのに?」
抑揚のない口調で、淡々と話す。
その目には一切の感情も無い。
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