悪魔の恋人

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しかし、たとえどんな方法を用いても、5日間戦い続けることは普通は不可能だ。 あらゆる魔法を併用しているにもかかわらず、長期間戦い続ける。 体力、魔力が消耗し、精神的にも疲弊すれば、最悪の場合、魔力の制御ができずに暴走する。 周囲の全てを破壊しつくして、最後には己の生命力すら魔力へと換えて、燃え尽きるまで止まらなくなることすらあるのだ。 「…ルースは、どうしてそこまで…?」 「…それは、俺とアイツの問題だ。お前に答える必要は無い。」 その言い草に、アンジェラはムッとしてノワールを睨む。 けれど、ノワールはそれを意に介する様子も無く、自分の左側に顔を向けた。 「もう朝か。」 ノワールの視線の先。 連なる山の間から、光がこぼれ始め、いつの間にか空も白んでいる。 「まあ、予定とは違ったが。それなりに楽しめたな。」 そう言って、ノワールはアンジェラに視線を戻すと、ふ…と笑った。 「じゃあな、アンジェラ。」 「…っ。ちょ…っ。」 引き止める間も無く、悪魔は消えた。 アンジェラは、ただ呆然と悪魔のいた場所を見つめていた。
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