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アンジェラとノワールが先に外に出た後。
ルースもまた、フードの付いた黒いローブを纏った。
ふと、ソファに横たえるシルファに目を向ける。
その柔らかな髪をくしゃ…と撫でて、低い声で言った。
「…ごめんな。」
「…っ。」
ドクン・・・ッ!
その声に、シルファの心臓が鈍く痛みを伴った鼓動を打つ。
シルファは、それ以上動けなかったが、背後で、ルースの気配が消えたことはわかった。
「…ぅ…っ。ぅう~…。」
こみ上げる痛みと息苦しさで、また涙が溢れる。
「シルファ…。」
ノエルは、シルファの前にしゃがみ込み、頬を撫でて涙を拭う。
そっと額にキスをして、震える小さな手を握る。
「ノ…エ…っ。」
そうして、再び泣き出したシルファの髪を、ノエルは何も言わずに何度も撫でた。
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