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3人が屋敷を出てから、どれぐらい時間が過ぎただろう? 長いような、短いような。 むしろ、時間そのものが止まっているような気さえする。 泣き腫らした目をぼんやりと開けたシルファの頭の中は、ほとんど真っ白な状態だ。 それでも、時々、不意にまた何かがこみ上げてくるような感覚が襲う。 トール・・・。 その名前が、不意に頭の中に戻る。 まだたった5歳。 親の顔すら知らずに育った弟。 10歳だった自分に課せられた、大きな役目。 あまりにも、大き過ぎた責任。
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